
2023年に制定された、6月10日の『子どもの目の日』。
生まれてから6歳ごろまでは、子どもの視力がぐんぐん発達していく大切な時期だといわれています。
一方で、6歳までは「目のトラブル」にも十分に気をつけたいタイミング。
6歳までに正しく目を使えないと、幼いうちに弱視や近視になってしまう可能性があるのです。
この記事では、現代の子どもが抱える目の悩みや、子どものうちから気をつけたい目の健康について紹介します。
目次
1. 6月10日『子どもの目の日』に込められた思い

『子どもの目の日(6月10日)』には、次の2つの思いが込められています。
- 子どもの弱視を早期発見し、早期治療を実現させる
- 低年齢化する近視の発症を予防する
生まれたばかりの赤ちゃんは、目がはっきりと見えません。
成長するなかで視力も発達していき、6歳ごろまでに視力は約1.0になるといわれています。
一方で6歳ごろまでは、目への悪い影響を受けやすく、その影響が大人になっても残りやすい時期。
特にメガネやコンタクトで視力を矯正できない「弱視」は、6歳までに治療しないと、改善が難しくなってしまいます。
【正しい検査や治療で、すべての子どもが「6歳」までに「視力1.0」を育むことができるように】 そんな願いを込めて、6月10日が『子どもの目の日』として制定されたのです。
2. 子どもの近視が急増中

近年、深刻になってきている子どもの近視。
文部科学省がおこなった『令和3年度学校保健統計調査』では、子どもの視力について以下のような結果が出ています。
【視力(矯正なし)が1.0未満の生徒の割合】
- 小学生……約37%
- 中学生……約61%
また、視力が0.3未満の小学生は、約30年前に比べて3倍以上増えているとのこと。
その原因は、時代とともに変化した、子どもたちの学習スタイルや日々の遊び方にあるのではないかと考えられています。
2-1. 主な原因はスマホやタブレットの普及
最近は小学生のうちから自分のスマホを持ったり、学校の授業でタブレットを使用したりするなど、子どもがデジタルデバイスに触れる機会は急増しています。
スマホやタブレットは、テレビや本に比べて目との距離が近くなりやすく、また長時間使われがちです。
近視は目に近い位置で作業をし続けると、発症リスクが高まるもの。
そのため、スマホを使いこなす現代の子どもたちのなかでは、近視が急増しているのです。
近視を予防するためには、「目から離して物を見ること」が大切。
子どもはつい夢中になりがちなので、タブレットなどを見るときにも30㎝ほど目を離したり1時間に10分程度休憩したりするよう、大人が積極的に声かけをしていきましょう。
2-2. おうち時間の増加も影響あり
コロナ禍を経て「おうち時間」が増えたことも、子どもたちの近視に影響を与えている可能性があるといわれてます。
世界的な指針にされている台湾の研究によると、「1000ルクス以上の光を1日2時間以上浴びている子どもは近視になりにくい」とのこと。
屋内で過ごす時間が増えたことで、光による近視抑制の効果を受けにくくなってしまったのです。
とはいえ、光を浴びる時間は“連続2時間”である必要はありません。1日トータルで2時間が目安であり、2時間未満でもある程度の効果が期待できます。
また、屋外の光であれば、日陰やベランダでも十分に1000ルクス以上の光が届きます。
まずは「1日2時間、光を浴びる」ことを、大人が意識することから始めてみませんか?
3. 子どもの「弱視」に要注意

6歳までの子どもの目で特に気をつけたいのが、「弱視」の早期発見です。
弱視とは、視力が十分に発達していない状態のこと。近視や遠視とは違い、メガネを使っても視力が良くなることはありません。
子どもは6歳ごろまでが「視覚の感受性期」と呼ばれ、視覚からさまざまな影響を受けて脳が発達します。
この時期に何らかの影響で視覚をうまく使えないと、「目から入ってきた情報を脳で処理する力」が発達せず、視力が育たない「弱視」になるのです。
3-1. 3歳児健診が発見のカギ!
50人に1人の割合でみられる子どもの弱視は、6歳ごろまでに治療をおこなわないと回復が見込めません。そのため、早期発見・早期治療がとても大切です。
多くの子どもが生まれて初めて視力を測定する「3歳児健診」は、弱視を早期に発見し、すばやく治療を始めるために欠かせないもの。
自宅での視力検査はもちろんですが、もしうまくいかなかった場合は、健診時にそのことをしっかりと伝えましょう。 また、健診よりも前に子どもの見方に違和感があったら、小さなことでも専門医へ相談してみてくださいね
4. まとめ
子どもの目の健康を守るためには、近視や弱視など、子どもの目に起こりうる症状を大人がしっかり理解することが大切です。
目は、生涯使い続ける大切な体のパーツ。子どもの日頃の遊び方や見方を大人がよく観察してあげて、適切な声かけや治療につなげていきましょう。
6月10日の『子どもの目の日』には、いま一度、子どもの目の健康について考えてみませんか?
【参考】
今年から6月10日を「こどもの目の日」に制定。「うちの子は大丈夫!」と安易に考えないで。子どもの視力の異常は早期発見が大切【専門医】