木の芽時こそ春野菜を!心身を健やかにする春野菜の栄養とおすすめ食材を紹介

外が過ごしやすい気温になり、街路樹の新芽や道端の花の蕾を見かけるようになった頃。

八百屋やスーパーにも、春の息吹を感じる生き生きした野菜が並び始めます。

冬の寒さに耐えて育った春野菜は、瑞々しくて栄養が豊富。

また春は『木の芽時(このめどき)』と呼ばれ、心のバランスを崩しやすい季節でもあります。

春に旬を迎える野菜には、そんな木の芽時にぴったりの成分もたっぷり含まれているんです。

この記事では春に旬を迎える野菜と特徴的な栄養素、特に食べたいおすすめ野菜を紹介します。

春にしか食べられない野菜で、心身の健康を整えてみませんか?

1. 春野菜ってどんな野菜?

春野菜とは、名前のとおり春に収穫される野菜です。

春に収穫量が増える野菜もあれば、一年中収穫されるものの、春に味わいが変わる野菜もあります。

それぞれの例を見てみましょう。

【春に収穫量が増える野菜】

  • たけのこ
  • アスパラガス
  • 菜花
  • せり
  • セロリ
  • 山菜類(ふきのとう、うど、わらびなど)

【春に味わいが変わる通年収穫野菜】

  • じゃがいも
  • 玉ねぎ
  • にんじん
  • キャベツ

通年収穫される野菜で春に収穫されるものは『新〇〇』『春〇〇』と呼ばれ、ほかの季節に比べて瑞々しく、食感がやわらかいのが特徴です。

2. 春野菜の特徴的な成分

冬の厳しい寒さを乗り越えて育った春野菜には、春野菜ならではの成分が豊富に含まれています。

その特徴として挙げられるのが、独特の苦味や豊かな香り

苦味や香りは味わいに変化をもたらしてくれるだけでなく、体にも良い効果があるんですよ。

苦味と香りの成分とその効果を簡単に解説します。

2-1. 苦味成分|植物性アルカロイド

春野菜は、ほかの季節に比べて苦味を含むものが多く存在します。

これは冬の間に昆虫や動物から身を守るため、また春に芽を出すための栄養として、植物自身が蓄えている『植物性アルカロイド』によるもの。

植物性アルカロイドは毒性を持つものもありますが、正しく調理をおこない、たくさん食べ過ぎなければ人間に害はないと言われています。

むしろ、人間にとっては良い効果が期待できる成分で、

  • 腎臓のろ過機能を高めて体の老廃物を外に出す解毒作用
  • 新陳代謝の促進

など、冬の間に体内に溜まった悪いものを出し、体の巡りをよくする効果が期待されています。

2-2. 香り成分|テルペン類

春に旬を迎えるセロリ、せり、明日葉などセリ科の野菜には、精油成分である『テルペン類』が含まれています。

テルペン類はとても種類が多く、これまでに発見された数は2万種類以上。

柑橘類の皮、針葉樹、スパイス、ハーブなどの香りも、それぞれに含まれるテルペン類によるものです。

テルペン類由来の香りには、ストレス軽減やリラックス効果があると言われています。

あわせて、リラックス作用により血圧と血流量が下がり、高血圧を予防する効果も期待されている成分です。

またテルペン類には、抗酸化作用があることも明らかになっています。

抗酸化作用によって細胞の酸化が抑えられることで、老化や生活習慣病が進行しにくくなる効果が期待できるのです。

3. 春のおすすめ野菜と栄養

山菜に芽物野菜、葉物野菜など、彩りと生命力にあふれている春野菜。

そのなかでも、特に春だからこそ食べたい野菜をいくつかご紹介します。

3-1. アスパラガス

アスパラガスには、スポーツドリンクにも含まれている『アスパラギン酸』が豊富です。

アスパラギン酸はアミノ酸の一種で、疲労回復やアンモニアの排出作用(利尿作用)などの効果があるといわれています。

おすすめの食べ方は、豚肉巻きやベーコン炒めなど。

同じく疲労回復効果があるビタミンB1が豊富な豚肉とあわせた料理が、春先の疲れの解消に役立ってくれますよ。

3-2. 菜花(なばな)

菜花は、春の訪れを感じる野菜の代表格。

ちなみに菜の花(なのはな)と菜花(なばな)では、言葉の意味が異なることをご存じでしたか?

菜の花がアブラナ科の植物に咲く花全般を指すのに対して、菜花は主に西洋アブラナを食用に品種改良したものを指します。

そんな菜花はビタミンCやビタミンE、β-カロテン、さらには辛み成分のアリルイソチオシアネートなど、抗酸化作用を持つ物質が豊富

これらの抗酸化物質には、免疫力の向上や生活習慣病を予防する効果が期待されています。

季節の変わり目、体調が揺らぎがちなタイミングにぴったりの栄養価が高い野菜です。

3-3. セロリ

独特の香りがあり、好き嫌いが分かれることも多いセロリ。

この香りの主成分は『アピイン』というポリフェノールの一種で、心を落ち着かせる効果や安眠作用、食欲増進作用があるといわれています。

また葉部分に多い香り成分『ピラジン』は、血液をサラサラにする効果があり、血行促進や動脈硬化予防に効果が期待できる成分です。

茎にはカリウムも含まれていますが、体に有効な成分は葉部分に多く含まれているため、葉も余すことなく食べるようにしましょう。

4. まとめ

春野菜は、季節感を楽しみながら豊富な栄養素を取り入れられる素晴らしい食材です。

特に苦味や香りが強い野菜は、冬の間に溜め込んだものを体から排出したり、不安定になりがちな春先のメンタルを安定させたりしてくれる効果が期待できます。

ぜひ旬の春野菜を食生活に取り入れて、草木や花のように生き生きとした春の暮らしを楽しみましょう!


【参考】
からだのための食材大全/池上 文雄,加藤 光敏ほか/NHK出版 春野菜 ~旬の野菜は栄養がぎっしり~|東邦大学医療センター 大橋病院 栄養部

春野菜の栄養と健康効果を徹底解説!旬の味覚で体調管理を万全に | 山梨県厚生連健康管理センター

生命力あふれる旬の春野菜を食べる ~ティーペック健康ニュース | ティーペック株式会社

テルペン | 成分情報 | わかさの秘密

アスパラギン酸 | 成分情報 | わかさの秘密

セロリ | 成分情報 | わかさの秘密