七草がゆで無病息災!食べる理由と歴史・健康への効果とは?

2024-12-31

年明けムードが少し落ち着くと、スーパーでは「七草がゆ」の材料が並び始めます。

七草がゆは日本の行事食のひとつですが、実は新年の体調を整えてくれる効果も期待できるんです。

この記事では七草がゆの歴史と食べる意味を紹介しながら、七草がゆに期待できる健康効果も解説します。

七草がゆの効果を知れば、「食べないともったいない!」と感じるはず。

日本の伝統を感じつつ、一年の始めに体を労ってみませんか?

1. 「七草がゆ」の歴史と食べる意味

「せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草」

この歌で、七草の種類を覚えた方も多いのではないでしょうか。

七草がゆは人日の節句(1月7日)に食べる、日本の伝統的な行事食です。

7種類の野菜を入れたおかゆを食べる風習は、大昔に中国から伝わり、日本にもともとあった風習と交わることで、現代にも伝わる形になりました。

その歴史と食べる意味を、もう少し詳しく解説します。

1-1. 七草がゆの歴史|七草がゆはかつて「汁物」だった!?

現代の七草がゆの風習は、日本と中国の風習が交わって生まれたものだと考えられています。

ひとつは、中国にある「7種類の野菜を入れた汁物を人日の節句1月7に食べる」という風習。

もうひとつは平安時代の貴族がおこなっていた、年始めに若菜を摘んで食べる「若菜摘み」という風習です。

この二つが交わり、日本のなかでは「7種類の野菜を入れた汁物」もしくは「7種類の雑穀を入れたかゆ」を食べる風習が生まれました。

室町時代ごろになり、二つの食べ物が融合することで、7種類の野菜を入れたかゆである「七草がゆ」が誕生したといわれています。

その後、江戸時代に幕府が「五節句」を正式に定めたことで、人日の節句に七草がゆを食べる風習が庶民にも普及しました。

1-2. 七草がゆを食べる意味|健康と出世を願って

七草がゆには、無病息災や立身出世を願う意味が込められています。

無病息災は、七草が持つ生命力に由来するもの。

雪の中から生える若い芽には強い生命力と邪気を払う力があると信じられており、その芽を年始めに食べることで、無病息災が願われていたのです。

立身出世は、かつての中国で1月7日に官吏(現代の国家公務員)の登用がおこなわれていたことに由来しています。

2. 実はすごい!七草の栄養素と健康効果

七草の種類は地域によって異なる場合もありますが、現代では「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」の7種類が一般的です。

七草には新年の寒い季節に必要な栄養素が豊富に含まれています。

ここからは七草に含まれる栄養素と健康への効果を、それぞれに込められた意味も交えながら確認していきましょう。

(※一部の野草は、栄養成分が十分に解析されていないため「不明」と明記しています)

2-1. せり

【意味:競り勝つ】

主な栄養素と効果:β-カロテン、ビタミンC(免疫力アップ)/鉄、葉酸(貧血予防)/カルシウム、ビタミンK(骨粗しょう症予防)など

そのほかの作用:胃健、解熱、食欲増進

2-2. なずな

【意味:なでてけがれを除く】

主な栄養素と効果:ビタミンC(免疫力アップ)/ビタミンK(​​骨粗しょう症予防)/カリウム(高血圧の予防・改善)など

そのほかの作用:解毒、利尿、止血

2-3. ごぎょう

【意味:御形(仏様の体という意味)】

主な栄養素と効果:不明

そのほかの作用:せきやたん、のどの痛みなどの緩和

2-4. はこべら

【意味:繁栄がはびこる】

主な栄養素:ビタミンA、ビタミンC(免疫力アップ)/ビタミンB(疲労回復)/サポニン(血流改善)/クマリン(むくみ防止)など

そのほかの作用:歯槽膿漏・歯痛予防

2-5. ほとけのざ

【意味:仏の安座(安座=落ち着いて座っていること)】

主な栄養素と効果:不明

そのほかの作用:胃健、食欲増進、高血圧予防

2-6. すずな

【意味:神様を招く鈴】※現代では「かぶの葉」を指します。

主な栄養素:β-カロテン、ビタミンC(免疫力アップ)/ビタミンB1・B2(疲労回復)/鉄(貧血予防)/カルシウム(骨粗しょう症予防)など

そのほかの作用:根の部分に含まれる「ジアスターゼ」が胃腸のはたらきを助ける

2-7. すずしろ

【意味:汚れのない清白】※現代では「大根の葉」を指します。

主な栄養素:β-カロテン、ビタミンC(免疫力アップ)/ビタミンK、カルシウム(骨粗しょう症予防)/葉酸(貧血予防)/カリウム(高血圧の予防・改善)など

そのほかの作用:根の部分に含まれる豊富な酵素が消化を助ける

3. まとめ|七草がゆで今年最初の「体に良いこと」を

七草がゆは、古くから人々の健康を願って、1月7日に食べられてきた行事食です。

実際に七草がゆの材料である野草には、新年のごちそうで疲れた胃を労ったり、体調を崩しやすい冬にぴったりな成分が豊富に含まれています。

ぜひ七草がゆで今年最初の「体に良いこと」をして、健康に一年をスタートさせてみませんか?


【参考】
人日の節供 | 「五節供に和食を」推進委員会
七草がゆを食べる理由とは? | 京都調理師専門学校 | 調理師を目指すなら、京都の料理・調理の専門学校
年末年始に食べ過ぎ・飲み過ぎた方は「七草がゆ」でデトックスを | 山梨県厚生連健康管理センター
「七草がゆ(がゆ)」の由来 :: 同志社女子大学
七草がゆ – さがの歴史・文化お宝帳