肌の乾きはドライアイのサイン!? ドライシンドローム(乾燥症候群)に要注意!

だんだんと空気が乾燥する季節、肌のカサつきを感じることが増えてきましたね。

しかし、その乾き、本当に肌だけでしょうか?

今、体のあちこちが乾燥する「ドライシンドローム(乾燥症候群)」が問題になっています。

ただの乾燥だと思って症状を放置すると、病気やQOL*低下のきっかけになることもあるんです。

この記事ではドライシンドロームの原因や症状、予防方法を紹介します。

ドライシンドロームを予防すれば、毎日を快適に過ごせますよ。

【QOL=Quality of life(クオリティ オブ ライフ)の略、「生活の質」という意味】

1. 放置でQOL低下!「ドライシンドローム」とは?

ドライシンドロームとは、肌や目、口など体のあちこちが乾燥する状態のことです。(女性の場合は、膣の乾燥も含まれます)

「たかが乾燥」と思うかもしれませんが、乾燥を放置すると

  • 粘膜の乾燥……抵抗力が落ちて風邪や感染症にかかりやすくなる
  • 口の乾燥……虫歯や口臭、歯周病
  • 目の乾燥……視力低下、角膜・結膜の損傷

など、不快な症状や病気の原因になります。

つまり乾燥を放置するだけで、生活全体の質(QOL)が下がってしまうのです。

2. いくつ当てはまる?ドライシンドロームのチェックリスト

以下はドライシンドロームのチェックリストです。

各部位でいくつか当てはまる場合、ドライシンドロームの可能性があります。

2-1. 肌の乾燥チェックリスト

  • 赤みや痛みがある
  • 肌荒れしやすい
  • カサカサしている
  • 粉を吹いている
  • 刺激に敏感(紫外腺、アルコール、花粉など)

2-2. 口の乾燥チェックリスト

  • 食べ物を飲み込みにくい
  • 会話しにくい
  • 口の中がネバネバする
  • 味がわかりにくい
  • 口臭が気になる

2-3. 目の乾燥チェックリスト

  • 目が疲れやすい
  • 目やにがよく出る
  • 異物感やかゆみ、痛みがある
  • 充血しやすい
  • まぶしさを感じやすい

3. ドライシンドロームの主な原因

ドライシンドロームの原因は、主に2つです。

  • 外分泌腺のはたらきの低下
  • 生活環境・生活習慣

それぞれの原因を詳しく解説します。

3-1. 外分泌腺のはたらきの低下

ドライシンドロームは、皮脂や涙、唾液など、体の乾燥を防ぐ外分泌腺のはたらきが低下することで起こります。

外分泌腺のはたらきが弱まるのは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少や自律神経の乱れが原因です。

特に更年期の女性は、ホルモンの影響でドライシンドロームの症状が出やすくなります。

また、現代の生活では食事や睡眠が乱れやすく、自律神経が影響を受けやすいため、若い人や男性も注意が必要です。

3-2. 生活環境・生活習慣

ドライシンドロームは、生活環境や習慣も大きな原因です。

例えば空気が乾燥していたり、目を使いすぎたりすると、粘膜が乾燥してしまいます。

すると、肌の柔らかさが失われ、さらに粘液の分泌が減ってしまうんです。

このように、体の乾燥は連鎖して悪化します。

4. ドライシンドロームを予防!体を潤す3つのポイント

乾燥は、外側からのケアはもちろん、内側から潤いを蓄えるためのケアも大切です。

水分そのものを補うだけでなく、体が水分を蓄えておく力を高める必要もあります。

体の保湿力を高めるポイントは、次の3つ。

  • 粘膜の健康を保つ栄養素を摂る
  • 粘液の生成力を高める|注目はβグルカン
  • 自律神経を整える

もう少し具体的に解説します。

4-1. 粘膜の健康を保つ栄養素を摂る

粘膜の健康を保つためには、ビタミンやミネラルの摂取が欠かせません。

特に意識して摂りたいのは、以下の栄養素です。

  • ビタミンA……粘膜の強化・保護
  • ビタミンB2、B6……粘膜の維持・保護
  • ナイアシン(ビタミンB3)……粘膜の炎症を防ぐ
  • 亜鉛……ビタミンAの吸収を高めてはたらきを助け、粘膜に留める

また、βカロテンは体内でビタミンAに変わるので、積極的に摂りましょう。

4-2. 粘液の生成力を高める

粘液は、体内で「ムチン」という成分から作られています。

このムチンの生成力を高める可能性があるとされているのが、『βグルカン』という食物繊維の一種です。

βグルカンはエリンギ、まいたけ、ぶなしめじなどのきのこ類や、大麦に含まれています。

なお、ムチンは里芋やオクラの粘り成分とは違い、動物から分泌されるものだということが明らかになっています。

植物には含まれていないので注意しましょう。

4-3. 自律神経を整える

体を乾燥から守る外分泌腺のはたらきは、自律神経が調整しています。

しかし、現代はさまざまな理由で自律神経が乱れがち。

そのため、日頃から以下のような、自律神経のバランスが整う習慣を心がけることが大切です。

  • 湯船に浸かる(40度で20分ほど)
  • 寝る前のスマホやパソコンを控える
  • 寝る時間と起きる時間を固定する
  • 十分な睡眠時間を確保する
  • ストレスをためすぎない

また、自律神経は腸内環境と影響し合うため、腸内環境を整えることも自律神経を整えることにつながります。

5. まとめ|ドライシンドロームを予防して毎日を快適に!

『ドライシンドローム』という体の乾燥症状は、放置すると生活の質に影響を与えることがあります。

粘膜が乾くと風邪をひきやすくなったり、口の乾燥は虫歯や歯周病につながったり、目が乾くと視力が悪くなることも。 「ただの乾燥だから」「乾燥する季節だから仕方ない」と思わずに、長引く乾燥には適切なケアをおこなっていきましょう。

【参考】
体中のうるおいが不足する「ドライシンドローム」とは? | HELiCO(ヘリコ) – あしたがちょっと健康に
【薬品】冬場に起こる乾燥の連鎖… 実はドライシンドロームかも?『ドライシンドローム』の症状を漢方視点で解説|
体が乾く「ドライシンドローム(乾燥症候群)」 | 近ごろ「かわき」が気になる方へ | キッセイ薬品工業株式会社
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自律神経の“バランス”を保つ生活のコツ|くすりと健康の情報局