「夏バテで食欲がない」
「ついさっぱりした麺類ばかり食べてしまう」
そんなときこそ、スパイスが効いた「カレー」を食べてみませんか?
カレーに使われるスパイスは、夏バテや夏の不調・食欲不振を解消してくれる効果がたくさんあるんです。
この記事では、夏の不調におすすめのスパイスの効果を紹介します。
調理師である筆者が、夏バテ対策カレーを作るポイントもあわせてご紹介。
栄養満点のカレーさえあれば、献立や栄養バランスに悩む時間も必要なくなりますよ。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
1. カレーの代表的なスパイス5種類と効果を紹介
食欲不振やお腹の不調、冷房による体の冷えなど……。
カレーに使われるスパイスには、こんな夏のお悩みを解消するさまざまな効果が期待できるんです。
そもそもスパイスは漢方薬にも使われるほど、体への良い効果が認められた食べ物。
ここからは、カレーに使われる代表的なスパイスと味の特徴、その効果を紹介します。
1-1. ターメリック
期待できる効果:解毒作用、抗酸化作用、
ターメリックは、主にカレーの色付けのために使われるスパイスです。
別名は「ウコン」。二日酔いに効くイメージがある方も多いのではないでしょうか?
ターメリックには「クルクミン」という成分が含まれており、肝臓の解毒作用を高めるほか、抗酸化作用による病気の予防効果も期待されています。
1-2. コリアンダー
期待できる効果:食欲増進、発熱緩和、整腸作用
コリアンダーはクセのある葉の部分(パクチー)とは異なり、甘く爽やかな香りで、料理全体の調和をとってくれるスパイスです。
香りの主成分である「リナロール」には鎮静作用があるため、香水やアロマオイルとしても活用されています。
1-3. クミン
期待できる効果:消化促進、食欲増進、整腸・解毒作用
クミンは4000年以上前に使われていた記録が残っている、歴史の深いスパイスです。
ツンと刺激のあるパワフルな香りは、カレーの印象そのもの。
インドをはじめ、南米や中東、アフリカなど、幅広い地域の料理で使われています。
1-4. レッドチリ(唐辛子)
期待できる効果:代謝アップ、食欲増進、抗酸化作用
レッドチリ(唐辛子)はカレーに刺激的な辛さを加え、ターメリックと共にカレーらしいオレンジ色を生み出してくれるスパイスです。
有名な成分は、脂肪燃焼を促してくれる「カプサイシン」。
摂りすぎは禁物ですが、適量であれば胃の粘膜を保護する作用が期待できます。
1-5.シナモン
期待できる効果:血行促進、抗酸化作用
まろやかで甘い香りと、ほんのりとした辛味を持つシナモン。
漢方として使われることも多く、体を温める効果が特徴的です。
また近年は、シナモンに含まれる「プロアントシアニジン」という成分の、ひときわ強い抗酸化作用が注目されています。
2. 夏バテに効くカレー作りのポイント
カレーに使うスパイスには、夏バテの予防や解消にうれしい効果が期待できます。
しかし、何気なく食べているおうちカレーでは、スパイスの効果が十分に感じられない場合があるんです。
家でカレーを作るときに意識したいポイントは、
- 市販のルーを使わない
- 旬の野菜をたっぷり入れる
- 疲労回復なら「ポークカレー×らっきょう」
の3つ。各ポイントを、もう少し詳しくお伝えします。
2-1. 市販のルーを使わない
市販のカレールウには、スパイスよりも油分が多く含まれているため、夏バテ気味の胃には重たく感じる場合があります。
また油分の割合が多いぶん、カロリーも高くなりがちです。
おすすめは、カレー粉とトマト、玉ねぎを使った無水カレー。
カレー粉を使ったカレー作りに慣れてきたら、自分でスパイスを追加したり単品のスパイスを組み合わせたりして、アレンジを楽しんでみましょう。
また最近は脂肪分がカットされたカレールウも販売されているので、そういった商品を使うのもおすすめです。
2-2. 旬の野菜をたっぷり入れる
夏が旬の野菜は、夏バテ解消によい成分がたっぷり含まれています。
以下は夏が旬の野菜と、含まれる栄養の一例です。
- ピーマン、パプリカ……ビタミンA・C・E
- かぼちゃ……ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンE
- トマト……ビタミンA(β-カロテン)、リコピン
ビタミンA・C・Eとリコピンは抗酸化作用が強く、夏に増えやすい紫外線からのダメージを軽減してくれます。
具材として一緒に煮込んだり、焼き野菜にして添えたり……ぜひお好みの方法で、たっぷり野菜を入れてみてください。
2-3. 疲労回復なら「ポークカレー×らっきょう」
ビーフ、ポーク、チキン、シーフードなど……カレーのメイン具材は種類が豊富ですよね。
そのなかでも夏のカレーにおすすめなのは、豚肉を使ったポークカレー。
豚肉には疲労回復ビタミンと呼ばれる「ビタミンB1」が豊富に含まれており、糖質をエネルギーに変える手助けをしてくれます。
そんな豚肉の働きをサポートしてくれるのが、実は「らっきょう」なんです。
らっきょうに含まれる「硫化アリル」は、ビタミンB1の吸収率を上げるはたらきがあります。
カレーを食べるときは、豚肉とらっきょうの組み合わせを、ぜひお試しあれ!
3. まとめ
カレーに使うさまざまなスパイスには、夏の不調を解消する効果が期待できます。
そんなスパイスの効果を生かすためには、カレーを作るときに
- 市販のルウを使わない
- 旬の野菜をたっぷり入れる
ことが大切なポイントです。
また疲労回復には「ポークカレー」と「らっきょう」の組み合わせがおすすめ。
スパイスたっぷりの栄養満点カレーで、おいしく夏を乗り切りましょう!
【参考】
スパイスの効能と効果 | 日本安全食料料理協会【JSFCA】
論文:香辛料の機能性成分/中谷延二
ポリフェノール ブドウ種子エキス(プロアントシアニジン) | キッコーマングループ 企業情報サイト
書籍:水野仁輔『いちばんやさしいスパイスの教科書』パイ インターナショナル