認知症の予防や脳の活性化に良いとして、クロスワードパズルや数独、「脳トレゲーム」などは人気がありますよね。
そんななか、実は「外国語学習」にも、脳を活性化させる効果が期待できることをご存じですか?
本記事では外国語学習が脳に与える良い影響について、海外の研究をもとに紹介します。
知識を広げることにもつながる外国語学習。
興味がある方も、過去に勉強していたという方も、ぜひ参考にしてみてください。
1. 外国語の学習が脳に与える良い影響5つ
外国語の学習(またはバイリンガル)と脳の関係は、海外でさまざまな研究がおこなわれており、メリットも判明しています。
本記事で紹介するのは、以下3つのメリットです。
- 記憶力の維持・発達
- 加齢による脳の衰えの抑制
- 語彙力や思考力の発達
それぞれ詳しく解説します。
1-1. 記憶力の維持・発達
外国語(第二言語)の学習には、脳の働きを活発にして、記憶をつかさどる領域を発達させる効果があると実証されています。
アメリカのペンシルバニア大学がおこなった研究では、第二言語を学ぶ経験が脳の一部を発達させたり、脳細胞のつながりを良くしたりすることが判明しました。
脳の変化は、子どもから高齢者まで年齢関係なく見られたとのことです。
またスウェーデンのルンド大学の研究論文によると、スウェーデン軍の通訳グループとそれ以外(主に大学生)のグループを比較したとき、通訳グループには海馬や大脳皮質の発達が認められました。
海馬や大脳皮質は、脳のなかでも記憶をつかさどる部位。
二つの研究結果から、外国語学習は年齢を問わず脳の働きを活発にし、特に記憶をつかさどる部分を発達させる効果が期待できるといえるのです。
1-2. 加齢による脳の衰えの抑制
脳の働きを活発にする外国語学習には、脳の衰えを抑制する効果も期待できます。
イギリス・スコットランドのエディンバラ大学の研究チームが発表した論文によると、バイリンガルとモノリンガル(単一言語話者)を比較したとき、バイリンガルには以下のような特徴・結果が見られたとのこと。
バイリンガルは……
- 認知能力が高い傾向にある
- 認知症の型にかかわらず、発症年齢が平均で4〜5年遅い
- 脳卒中からより早く回復する
母国語とは別の言語を習得する、つまり外国語学習をおこなうことで、上記のような効果を得られる可能性があるのです。
論文では、バイリンガルの認知能力が高い理由を、「脳の中で異なる言語を同時に処理する能力が、言語以外の場面でも優れたパフォーマンスを示すから」としています。
1-3. 語彙力や思考力の発達
「木漏れ日」という言葉、ご存じですか?
日本語を話す人であれば、「木々の間から漏れる光」を差す言葉だと、なんとなく意味や情景が想像できますよね。
ところが、日本以外の国に「木漏れ日」を表す言葉はないんです。
実は「木漏れ日」のように、その国にしかない言葉というのはいくつも存在しています。
例えば「poronkusema(ポロンクセマ)」。
これはノルウェー語で「トナカイが休憩なしで疲れず移動できる距離」という意味の言葉です。
日本人からするとイメージしにくいのですが、トナカイが身近な国では案外距離をイメージしやすいのかもしれませんよね。
他にも、その国にしかない言葉や表現は数えきれないほどあります。
外国語を学ぶことは語彙力と、その国の文化に思いをはせる「思考力」を伸ばすことができるのです。
2. 日本人は外国語学習に消極的?
島国かつ、一つの民族が人口のほとんどを占める日本は、外国語学習に対してやや消極的だと言われています。
実際に『Duolingo語学調査』によると、10〜50代の男女1,000名のうち、約50%は「言語の習得を始めたことがない」とのこと。
「外国語、主に英語を話せるようになりたいけれど、挫折した」という経験をお持ちの方は、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事でご紹介した数々のメリットを知れば、「英語を習得したい」以外のモチベーションも高まり、学習を続けやすくなるかもしれませんね。
3. まとめ
外国語を学ぶことは、脳の活性化というメリットに加え、その国の歴史や文化を知ることにもつながります。
「外国語を学ぶ」ではなく「好きな国について学んでみる」と考えたら、勉強に対するハードルが低くなりますよね。
好きな国について学びつつ、脳を活性化させる外国語学習。
ぜひこの機会に、挑戦してみませんか?
【参考】
脳の活性化には外国語学習がおすすめ! 何歳になってもチャレンジしよう(あたまナビ)