「ストレッチは体を柔らかくするためのもの」だと思っていませんか?
確かにストレッチは体の柔軟性を高めてくれます。
しかしそれ以上に、健康への良い効果がたくさんあるんです。
この記事では、まさに“良いこと尽くし”なストレッチの効果を解説します。
あわせて、ストレッチの効果をより高めるためのやり方とポイントも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. ストレッチのうれしい効果5選
『百害あって一利なし』という言葉がありますが、ストレッチはその逆。
姿勢の改善や肩こり・腰痛の改善などメリットはたくさんありますが、目立ったデメリットはありません。
ここからは、現代人にとって特にうれしいストレッチの効果を3つ紹介します。
1-1. 疲労回復・むくみ解消
日々たまっていく疲労の原因は、血行不良による老廃物の蓄積。
また多くの女性を悩ませる「むくみ」は、血行不良によって水分の流れも悪くなり、ふくらはぎや脛に水分がたまることが原因です。
ストレッチで血行が促進されると、老廃物の排出や全身の水の巡りが促進されるので、疲労回復やむくみ解消の効果を期待できます。
1-2. 心身のリラックス
ストレッチは体だけでなく、心にも良い効果をもたらしてくれる運動です。
川崎医療福祉大学の研究によると、ストレッチを30分おこなった場合、脳のアルファ波が増加し、心拍数の低下がみられたとのこと。
これは自律神経のうち、落ち着いているときに働く『副交感神経』が優位になったサイン。
このことから、ストレッチは副交感神経を優位にして、体をリラックスさせる効果があるとされています。[
1-3. 血圧低下・動脈硬化などの改善
習慣的なストレッチには、血圧の低下や動脈硬化を改善する効果が期待できると研究で明らかになっています。
以下は研究結果の簡単な内容です。
- 習慣的にヨガをおこなうと、血圧が低下する
- 1日2回(1回あたり10分間・5種類)のストレッチを4週間続けたところ、動脈硬化の進行度を示す指標(PWV)が低下
- 40~65歳の糖尿病患者がストレッチを60分おこなったところ、血糖値が低下(筋トレ60分と同じ効果)
それぞれストレッチの強度や時間は異なるものの、生活習慣病の原因となる症状を改善する効果が報告されています。
つまりストレッチには、生活習慣病を予防・改善する効果が期待できるんです。
2. 効果をあげるストレッチのやり方とポイント3つ
いいことづくしのストレッチですが、やり方を間違えると期待する効果が実感できない場合もあります。
また紹介した効果が期待できるのは、ストレッチのなかでも『静的ストレッチ』という運動です。
ここからは、効果を高める『静的ストレッチ』のやり方とポイントをご紹介します。
2-1. 20秒以上かけてじっくり伸ばす
静的ストレッチの効果的な時間についてまとめられた論文では、
- 20秒以上のストレッチが効果的
- 20秒と60秒のストレッチは効果がほぼ同じ
という結果が出ています。
一方、10秒ほどの短いストレッチは『筋出力(筋肉を上手に動かす力)』を高めるためには効果的。
- リラックスや血行促進などの効果を期待するときは20秒以上
- 体を動かしやすくしたいときは10秒程度
と、期待する効果によってストレッチの時間を使い分けてみましょう。
2-2. ゆっくりと呼吸しながらおこなう
ストレッチの体勢によっては腹部に圧がかかり、つい呼吸を止めてしまうことがありますよね。
しかし呼吸が止まると筋肉が伸びにくくなり、さらには血圧が上昇してしまうので、ストレッチには逆効果。
ゆっくりと呼吸することで、体の緊張がほぐれて筋肉も伸ばしやすくなります。
2-3. 伸ばす部位の「痛気持ちいい」を意識
ストレッチは伸ばせば伸ばすだけ良いというものではありません。
強い痛みを感じるまでストレッチすると、『伸張反射』という働きで筋肉が収縮して、逆に筋肉が硬くなってしまいます。
少し痛いけれど気持ちいい程度で止めておくと、ストレッチには効果的です。
さらに効果をあげるポイントとして、伸ばしている筋肉を意識するのもおすすめ。
『神経筋協応能』という筋肉と神経のバランスがより一層高まり、筋肉がほぐれて体が動かしやすくなるんですよ。
3. まとめ
ストレッチは体の柔軟性を高めるだけでなく、姿勢の改善やリラックス効果、生活習慣病の予防・改善などにも効果が期待できます。
『百害あって一利なし』ならぬ『百利あって一害なし』の運動です。
両手を広げられるスペースさえあれば、家で今すぐにでも始められるストレッチ。
ぜひご紹介した効果的なやり方を参考に、ストレッチを習慣化してみてくださいね。
【参考】
大脳皮質・自律神経系活動および全身循環への影響
ストレッチ運動による動脈機能の改善効果
短時間の静的ストレッチングが柔軟性および筋出力に及ぼす影響
静的ストレッチングの効果的な持続時間について
:: JER :: Journal of Exercise Rehabilitation.2017;13(5):581-587
Patel CH.;Yoga and bio-feedback in the management of hypertension.Lancet 1973; 2: 1053-5.