「網膜剥離」は、ボクシングなどの激しいスポーツをする特別な人がかかる病気と思われがちですが、そうではありません。実は、誰にでも起こり得る身近な病気です。日本では年間1万人に1人の割合で発症し、20代の患者もいるのだとか。
目のこすりすぎが引き金となるケースも多く、花粉症の人は注意が必要です。今回は網膜剥離の主な症状と、あらわれやすい予兆について解説します。
網膜剥離になりやすい?チェックシート
持病や既往歴などが網膜剥離の危険因子になることもあるのだとか。
まずはご自身が、網膜剥離を起こしやすいタイプなのかチェックしてみてください。当てはまる項目が多いほど、リスクが高いと考えられています。
【網膜剥離のリスクチェック】
・目を強く打撲したことがある
・強度の近視がある
・よく目をこすったり、叩いたりする
・花粉症である
・アトピー性皮膚炎である
網膜剥離はどんな病気?
網膜剥離とは、何かしらのきっかけで網膜が眼球の内側からはがれてしまい、目の機能が低下してしまう病気のこと。
網膜剥離にはいくつかの種類がありますが、最も多いのは「裂孔原性網膜剥離」です。これは網膜に裂け目ができたり、孔が開いたりすることから引き起こされるもので、全体の9割近くを占めます。
網膜がはがれた状態で放置すると、網膜の視細胞が死んでしまい、視野の欠けや視力低下が進みます。さらに、網膜の中でもとくに重要な黄斑部が剥がれると、急激な視力低下が起こり、最悪の場合は失明に至ることも。
強度の近視の人は通常よりも眼球が大きい(前後方向に長い)ため、網膜が裂けやすいのだとか。そのため、加齢や打撲などの外傷だけが原因になるわけではありません。
かゆくても!目をこすらないで
花粉症の人は目のかゆみからこすったり叩いたりしてしまいがちですが、こうした長年の刺激は網膜剥離を引き起こす場合も。アトピー性皮膚炎の人はもともと網膜がやぶけやすいため、要注意です。
危険サイン?網膜剥離の2大徴候
飛蚊症
視界に小さなごみや虫のようなものが浮かんで見える症状。
硝子体の性質が変化して、濁りが生じるとその影が網膜に映るため見える。飛蚊症は生理的なものも多いが、裂けた網膜の破片が飛んだり、出血したりしている場合は危険。
光視症
視界の端の方に一瞬、稲妻のような光が見える症状。
そのような瞬間的に光が見えるのは、網膜が内向きに引っ張られていることが原因。
「症状も治まったししばらくは様子をみよう」と考えずに、気づいたタイミングで必ず眼科を受診しましょう。大切な目を守ってイキイキと過ごせますように♪
【参考】健康雑誌『若々』2023年新春号