みなさんは、「痩せている」ことにどんなイメージを持ちますか?
健康、美人、ストイック……など、ポジティブなイメージを抱く方も多いでしょう。
しかし今、日本では「やせ」が健康問題になっています。
「やせ」には良いイメージを抱きがちですが、実は肥満と同様に病気のリスクが高いんです。
この記事では、日本のやせ問題とやせすぎが健康問題につながる理由を解説します。
病気になりにくい体を作るためのポイントも紹介するので、ぜひご一読ください!
1. 日本の「やせ」事情
世界では今、「肥満」が大きな健康の課題になっています。
肥満度をあらわすBMIの数値は、多くの国で右肩上がり。
しかし、日本では逆に、国民の平均BMIが下がり続けているんです。
「やせ」の傾向は1980年代ごろから見られ、特に若い女性の平均BMIは「やせ」を示しています。
そのため、世界が肥満対策を進めるなか、日本では「やせすぎ」対策も行われているんです。
目次
2. 研究で明らかになった「やせすぎ」のリスク
やせすぎが病気のリスクを高めることは、いくつかの研究で明らかになっています。
ひとつは、2011年に国立がん研究センターが発表したデータです。
BMIが30以上になると死亡リスクが高まりますが、BMIが23以下でもリスクが高く、特にBMIが19未満ではさらに高くなることがわかっています。
ふたつ目は、2021年に発表された順天堂大学による研究結果。
中高年の女性で肥満とやせを比較したとき、どちらも同じくらい糖尿病にかかるリスクが高いことが明らかになりました。
3. 「やせ」で病気リスクが高まる原因は「筋肉不足」だった!
やせすぎが病気のリスクを高める大きな原因は「筋肉不足」です。
「サルコペニア」とも言われ、これは年齢とともに筋肉が減って体の機能が低下することを指します。
しかし、日本では「食べない・運動しない」という誤ったダイエットが広まり、特に若い女性の筋肉不足が増えてきています。
痩せの筋肉不足による影響は、以下のとおりです。
- 将来的に骨粗しょう症や転倒のリスクが高まる
- 血糖値が上がりやすく、下がりにくくなる
- 心臓に負担がかかりやすくなる
さらに、病気が治りにくかったり、ケガが重くなったりすることも懸念されています。
4. やせメタボ解消!筋肉を増やす3つのポイント
やせ型の筋肉不足は、いわゆる「やせメタボ」の状態で、肥満と同じくらい病気になるリスクを高めます。
健康を保つためには、BMI20くらいの体重を維持しながら筋肉を増やすことが大切です。
そのためには、「食事」と「運動」の見直しが基本になります。
具体的に気をつけたい食事と運動のポイントを3つご紹介します。
4-1. 適度な炭水化物とたっぷりタンパク質
糖質制限が広まったことで、ダイエットのために「とりあえず糖質を抜く」という人が増えています。
しかし、糖質は体や脳を動かす大切なエネルギー源なので、簡単に抜くのはおすすめできません。
1日のカロリーの約50%は、糖質から摂るのが理想的です。
ただし、筋肉を増やすためには糖質だけでなく、タンパク質も大切。
目安は1日あたり適正体重×1gです。
例えば、身長160cmの方なら適正体重は約56kgなので、1日56gのタンパク質を目指しましょう。
4-2. 1日8000歩を目標に!
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、1日8000歩以上歩くこと(もしくはそれに相当する運動)がすすめられています。
とはいえ、無理に運動時間を確保する必要はなく、家事・買い物・通勤など「ながら運動」で大丈夫。
こまめに体を動かして、トータル8000歩相当の活動量を目指しましょう。
4-3. 週2回の筋トレで筋肉量アップ
厚生労働省では、週2〜3回の筋トレも推奨しています。
毎日8000歩で筋肉の質は改善されますが、量を増やすには筋トレが必要です。
まずは手軽に、自宅で器具を使わずに行う自重トレーニングから取り組んでみてください。
おすすめのメニューはスクワット、膝つき腕立て伏せ、ドローインなど。
筋トレがうまくできないときは、ストレッチから始めるのもおすすめです。
5. まとめ|筋肉を増やして病気にならない体づくりを!
世界的に問題となっている「肥満」と同じくらい、日本では「やせすぎ」も健康への問題が心配されています。
BMI18.5以下で筋肉量が少ない、もしくは体脂肪率が高めな場合は、健康への悪影響が心配される「やせメタボ」の状態です。
まずは何かひとつでも良いので、生活習慣を見直して、体づくりをはじめてみましょう。
その小さな一歩が、将来の健康へと続いていきますよ。
【参考】
・やせていても「少食で運動不足」はハイリスク。若い女性も気をつけたい糖尿病 | 順天堂 GOOD HEALTH JOURNAL
・Vol.04:肥満だけではない 痩せることもハイリスク!心血管リスクを増大させる「サルコペニア(筋肉減退)」 | 医療法人 澄心会 豊橋ハートセンター
・肥満指数(BMI)と死亡リスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター がん対策研究所
・日本の女性のやせ過ぎ問題とその栄養対策 Part 1 若い女性のやせ過ぎ問題は待ったなし! | ニュース | 日本生活習慣病予防協会
・「低体重」は重大な健康リスク!6種類の心血管疾患で検証| カラダご医見番 | ダイヤモンド・オンライン
・サルコぺニア | e-ヘルスネット(厚生労働省)
・「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:成人版 | e-ヘルスネット(厚生労働省)