「熱中症にかかると、白内障のリスクが4倍になる」
近年は記録的な猛暑が続き、熱中症にかかる人も増えています。
そんななか、金沢医科大学の教授が「熱中症にかかると、将来的に白内障を発症するリスクが高まる」という研究結果を明らかにしたのです。
この記事では熱中症が白内障のリスクを高める理由と、暑い季節におこないたい白内障対策をご紹介。
早めの対策で、目を白内障リスクから守りましょう!
目次
1. そもそも「白内障」とは?加齢で起こる目の病気
熱中症が白内障のリスクを高める理由の前に、そもそもなぜ白内障になるのか、どんな症状があるのかを簡単に解説します。
白内障は目の水晶体が濁ることで、目のかすみや見えにくさなど、視力の低下が起こる病気です。
白内障の原因はさまざまですが、主な原因は「加齢」。
具体的には、
- 加齢によって目の中に老廃物がたまること
- 水晶体に含まれるタンパク質が変性して硬くなり濁ること
などが、加齢による白内障の原因だといわれています。
加齢が原因の白内障は、症状がゆっくりと進行する点が特徴です。
2. 目は卵と同じ!? 熱中症で白内障リスクが高まる理由
熱中症で白内障リスクが高まる理由は、体温の上昇に関係しています。
熱中症の症状には「体温の上昇」があり、重症の場合は熱が40度以上になることも。
体温が上昇すると目の中の温度も上がるため、水晶体のタンパク質が変性。
変性したタンパク質は、加熱された卵が生卵に戻らないのと同じように、変性する前には戻りません。
つまり、熱中症にかかると水晶体のタンパク質が変性するため、白内障のリスクが高まると考えられるのです。
2-1. 熱中症でリスクが約4倍、20代でもリスク上昇
熱中症が白内障のリスクを高めると発表したのは、金沢医科大学 佐々木 洋教授らによる研究チームです。
研究では、2016年1月から2023年2月までに得た約260万人の診察データから、熱中症にかかったあと、5年後に白内障を発症した割合を調査。
熱中症にかかったことがない人に比べて、熱中症にかかった人は白内障の発症率が約4倍高くなるという結果が明らかになりました。
また60代では、熱中症による白内障リスクが5倍近くまで上昇。
加えて研究では、本来は白内障のリスクが低い20代も、熱中症にかかることで白内障リスクが高くなることが判明しています。
3. 白内障から目を守る!熱中症・紫外線対策
白内障は熱中症のほか、夏に強まる紫外線でもリスクが高まる可能性があります。
つまり、夏は熱中症とあわせて紫外線も対策することが、目を守ることにつながるのです。
おすすめの熱中症・紫外線対策は以下の3つ。
- 温度と湿度を適切に保つ
- 目を直接冷やす
- 帽子やサングラスを活用する
ひとつずつ、具体的に紹介します。
3-1. 温度と湿度を適切に保つ
実は自宅内での発症が多い熱中症。
熱中症で救急車を要請した場所のうち、全体の約40%が住宅からの要請だったとのデータも出ています。
熱中症を防ぐための目安は、「室温28度、湿度40〜60%」。
暑さのピークである午後1時よりも前に、冷房や除湿で適度に室内を冷やしましょう。
また高齢者は暑さを感じにくかったり、汗をかきにくかったりするため、気づけば熱中症になっている可能性も。
感覚を頼りにするのではなく、温度・湿度計に頼ることも大切です。
3-2. 目を直接冷やす
熱中症と白内障の研究をおこなった佐々木教授によると、目を直接冷やすのもおすすめの対策とのこと。
「熱中症気味かも?」と感じたら、わきの下や首筋を冷やすのと同時に、目も冷やすと効果が期待できます。
ちなみに熱中症の疑いがあるときに、目だけを冷やすのはNG。目を冷やしても体全体を冷やす効果はないので、わきの下や首筋と一緒に冷やしましょう。
(リラックス目的で目を冷やすのはOK!)
3-3. 帽子やサングラスを活用する
近年はさまざまな日よけグッズがありますが、目を守るために効果的なのは、以下の2つです。
- つばが広い帽子
- UVカットサングラス
紫外線カット効果は、つばが広い帽子で20%、UVカットサングラスで90%あるとされています。
帽子は、麦わら帽子やチューリップハット、女優帽など、目の前にしっかりと影ができる形のものがおすすめ。
サングラスは「UVカット表示」99.9%以上あるものを選びましょう。
サングラスを色の濃さで選ぶと、紫外線を防げず、さらには視界の暗さで瞳孔が開き、目に紫外線が入りやすくなるおそれがあります。
また帽子とサングラスは、併用すると高い紫外線カット効果が期待できますよ。
4. まとめ|熱中症&紫外線対策で白内障から目を守ろう
熱中症にかかると、体温が上がって目のタンパク質が変性し、白内障のリスクが約4倍も高まる可能性があります。
あわせて紫外線も白内障の原因といわれているため、夏は白内障リスクが高まりやすい季節なのです。
紫外線と熱中症、どちらも対策して、体と目の健康を守りましょう!
【参考】
【最新研究】眼球の温度が上がる!?熱中症で白内障5年後の発症確率4倍に…専門家「生卵がゆで卵になったら元に戻らないのと同じこと」|FNNプライムオンライン