メジャーリーガーの目の下が黒いのはなぜ?実は光から目を守る工夫だった!

日本のプロ野球やメジャーリーグの試合を見ていると、目の下が黒くなっている選手をときどき見かけますよね。

「サッカーの試合で見かけるフェイスペイントみたいなものかな?」
と思っている方も多いかもしれません。

しかし、実は目の下の“黒いもの”には、試合中の選手の目を守る重要な役割があったんです。

この記事では、野球選手が目の下を黒く塗る目的や歴史について解説します。

1. 目の下を黒く塗る『アイブラック』とは

野球選手が目の下に塗っている黒いものの正体は、『アイブラック』というペイントです。

使用する目的は、太陽光やスタジアム照明のまぶしさから目を守るため。

特にフライ(バッターが空中高くに打ち上げた打球)を捕るとき、顔を上に向けると頬の膨らみで光が反射して、球が見えにくくなります。

目の下を黒く塗る「アイブラック」を施すことで、光の反射が抑えられるため、上空から落ちてくる打球を見やすくしているんです。

1-1. メジャーリーガーや外国人選手にアイブラックが多いのはなぜ?

アイブラックを見かけるのは、日本のプロ野球よりもメジャーリーグ選手の方が多いのではないでしょうか?

その理由は、日本人と外国人では顔の骨格が違うから。

外国人(特に欧米人)は顔の彫りが深いため、頬で受けた光が目に反射しやすいんです。

またメジャーリーグの舞台であるアメリカは、空気が乾燥しており日中の日差しが強いことでも有名。

「頬がレフ板のようになってしまう」と考えれば、目の下を黒く塗る効果がイメージしやすいかもしれませんね。

1-2. アイブラックって塗ってるの?貼ってるの?

アイブラックには、スティック状で直接肌に塗るグリースタイプと肌に貼り付けるステッカータイプがあります。

使用率の正確なデータはありませんが、アイブラックの起源が「肌に炭を塗ること」だったことから、グリースタイプを慣れ親しんで使っている選手が多いようです。

1-3. 使い始めたのはアメフト選手

アメリカのスポーツ専門チャンネル ESPNによると、アイブラックが最初に使われたのは1942年のこと。

アメリカンフットボールチームのプロ選手が、蜜蝋や煤(すす)などを混ぜて目の下に塗ったのが始まりだといわれています。

そのため、アメリカではフットボール選手のアイブラックも一般的なんですよ。

2. 派手なアイブラックは罰金対象!?

目の下を黒く塗る「アイブラック」は、形によって威圧感があるもの。

過去には相手選手を威圧する目的でアイブラックを施した選手がおり、その選手には高額な罰金が科せられるなど、厳しい対応が行われたとのこと。

この事例から、アイブラックはあくまでスポーツマンシップに則った常識の範囲でのみ、使用が認められていることがわかりますね。

3. 科学的に証明されているアイブラックの効果

最初に使われ始めてから、習慣的に用いられてきた「アイブラック」。

その効果は、2003年にアメリカ イエール大学の研究によって科学的に証明されました。

同研究によると、グリースタイプとステッカータイプのアイブラック、ワセリンの3種類を比較したところ、まぶしさを防ぐ効果が高いのはグリースタイプのアイブラックであるとのこと。

また2005年にも同様の研究がおこなわれ、同じくグリースタイプのアイブラックの効果が高いことが裏付けられています。

4. まとめ

今年も開幕したメジャーリーグ。そこで活躍する選手たちの目元には、勝つための工夫が潜んでいたんですね。

アイブラックに注目してみると、選手の個性やこだわりが垣間見えて、より一層観戦を楽しめるかもしれませんよ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


【参考】

[1] The Ability of Periorbitally Applied Antiglare Products to Improve Contrast Sensitivity in Conditions of Sunlight Exposure

[2] Why Do Athletes Use Eye Black?