真っ赤な長靴

作者:田中 由香里

ブルブルくんは、雨上がりの森の散歩を楽しんでいました。

「雨上がりの森はなんか清々しくてええなぁ。虹もかかってほんまにきれいや」

すると、とっても美しい真っ赤に輝く長靴が目に入りました。誰かが落としたんかな?ブルブルくんは興味津々で、長靴を拾い上げました。

「キレイやなぁ。ちょっと履いてもええかな」

と長靴に足を入れるとピッタリ!とそのとたんに長靴が勝手にピョンピョンと跳ねて思わぬ方向へ歩きだしました。

「なんや!なんや!だれか止めて~!」

いくら叫んでみても長靴は止まる様子もなく、すごいスピードでドンドンと森の奥へと進んでいきます。そして脱ごうにも足から外れません。

すると、森の奥深くから「長靴を拾ったのね」と、透明感のあるキレイな声でブルブルくんに語りかけてきました。

ブルブルくんは、虹の妖精たちが住む世界に足を踏み入れてしまったのです。そこには、大きな湖と 7 色の花畑が広がり 7 色の帽子をかぶった 7 人の妖精が暮らしていました。

「ありがとう。私は虹の妖精のバイオレットよ。それは弟のレッドが落とした長靴なの。届けてくれてありがとう」

「僕はブルブルくん。ブルーベリーの妖精や。勝手に長靴履いてごめんなぁ。あまりにキレイやったから。それにしても、森の奥にこんな場所があるなんて初めて知ったわ」

「普通は私たちの長靴も姿もみえないのよ。この場所も、正直で美しい心とダンスへの愛がないとたどり着けないの」

「そうなん!なんか照れるわ~。今度はボクの友達も連れてきてもいい?」

「もちろんよ!ブルブルくんの友達ならぜひ会いたいわ。大歓迎よ」

「ありがとう!ぜったい皆喜ぶわ!」

といいつつ、カタグリくんはあかんかもしれんな…と悪い顔をするブルブルくんでした。

おしまい

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