小さな冬支度

2024-12-11
作者:伊藤有輝子

ある日、森を散歩していたブルブルくん。ふと地面を見下ろし首をかしげました。足元には、ドングリがいくつも転がっていて、その中の一つがころころと動き始めたのです。

「お、ブルブルくーん」

その声と共に、ドングリがふわりと浮かび上がり、ポンっと大きくなりました。ドングリの化身カタグリくんです。

「森の冬支度を手伝ってくほしいんだぞー」ブルブルくんは「もちろん!」と答えました。

そこへ、紫々丸くんがトコトコとやってきました。

「何してるの~?」

「今から森の冬支度を手伝うんや♪」とブルブルくん。

紫々丸くんは「じゃあ僕も手伝うよ。でも、僕はもこもこだから…重いものは苦手かも」と少し恥ずかしそうに言いました。

「大丈夫、紫々丸くんのもこもこは寒さを和らげてくれるから、ボクたちのそばで暖めてくれたら助かるわ!」

ブルブルくんは、木の根元を落ち葉で覆い、カタグリくんは地面にドングリをしっかり埋め込みました。紫々丸くんは、羊毛でみんなの体を暖かく包み込みます。

ふいに森全体がしんと静まり返り、空からちらちらと白い雪が舞い降りてきました。

「きれいやなぁ」ブルブルくんがつぶやくと、カタグリくんも、「うん、冬支度がまにあって良かったぞー」とにっこり。

雪が積もり始める中、3人は仲良く森の奥へ戻っていきました。

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