冬の森のあたたかいご褒美

作者:伊藤有輝子

雪がキラキラ光る中、ブルブルくんとアントンくんは森を歩いていた。

「よし、アントン、あの丘まで競争や!」

ブルブルくんが元気に言うと、アントンくんも「ワン!」と元気よく答えた。二人が雪の上を走り出すと、風の音に混じってかわいらしい声が聞こえた。

「ブルブルくーん」

木の枝に腰かけて笑っているアイアイちゃんの隣には、レスベラちゃんが丸まっていた。

「アイアイちゃんも散歩か」

「そうなの。レスベラが雪の上で遊びたいっていうから。」

「ほんなら一緒に遊ぼか!」

みんなで雪だるまを作ったり、雪合戦をしたり。レスベラちゃんは雪の中を駆け回り、アントンくんと楽しそうにじゃれ合っている。

しばらくして、レスベラちゃんが雪の中から小さな木箱を見つけた。

「なにかしら、これ?」アイアイちゃんがそっと開けると、中には色とりどりのキャンディが。

「うわっおいしそうやなー」ブルブルくんとアイアイちゃんは大喜び。

そこへ、森の奥から優しい声が響いた。「寒い冬も笑顔で過ごしてくれる君たちに私からのご褒美だよ」声の主は、この森を守る精霊だった。

「おおきに!」ブルブルくんとアイアイちゃんはキャンディを一つずつ口に入れた。甘さとともに、不思議と体がぽかぽかと温まる。

「これで、寒い冬もへっちゃらやな!」

アントンくんとレスベラちゃんも元気よく鳴いて応えた。

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