メイポールダンス

作者:伊藤有輝子

清々しい新緑の香りが北欧の森をつつみ、色鮮やかな花があちこちで咲き始めます。今日は、毎年5月に行われるお祭り「メイポールダンス」の日。

メイポールダンスは、背の高い棒に長いリボンをくくりつけ、編み込むようにしながら踊る伝統的なヨーロッパのダンスで、どんな模様に編み込めるかはダンサーの腕しだい。

森の仲間たちや、ダンスが得意なアイアイちゃんとブルブルくんは、この日をとても楽しみにしていました。

「さあ、アイアイちゃん、今年は優勝するで!」

意気込むブルブルくん。アイアイちゃんはなにやら困った様子。

「どうしたんや、アイアイちゃん」

「一緒に踊るはずだったダンサーが急に来られなくなってしまったの。少なくても4人はいないと、リボンが編み込めないわ」

今からメンバーを探す時間はありません。今年は出場できないかとしょんぼりするアイアイちゃん。

その時、応援に来ていた紫々丸くんとカタグリくんが

「アイアイちゃん、ぼく、手伝うよ~」

「オイラもアイアイちゃんを助けるぞー」と、ダンスに加わることになりました。

二人ともダンス踊れるのかしら・・・アイアイちゃんは一抹の不安を感じましたがもうダンスは始まります。

「こうなったらやるしかないわね、二人とも、頼んだわよ!」

軽やかな音楽が流れ、そこかしこで、色とりどりのリボンがふわりと宙を舞い、様々な模様に編み込まれていき、まわりからはわぁっと歓声があがります。

「カタグリくん、ここをくぐって!」

「ブルブルくん、そこでジャンプ!」

「ほ、ぼく、目がまわってきたよ~」

みんなであっちこっち動いていくうちに、紫々丸くんの羊毛にリボンがからみつき、そのまま紫々丸くんも一緒に編み込まれてしまいました。

おかまいなしに、踊り続けるアイアイちゃんたち。

「できた!ハッピーウールを編み込んだメイポールリボンよ!」

アイアイちゃん達の作ったもふもふの羊毛を編み込んだ色鮮やかなリボンは見事優勝し、みんなをさらに倖せにしたんだって。

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