森の便利屋さん?

作者:伊藤有輝子

 ブルブルくんが森の中を散歩していると、川岸で穴を掘っているカタグリくんの姿が。

「おーい、カタグリくん。何してんの?」

「あ、ブルブルくん、おいら、温泉を掘ってるんだぞー」

「温泉」

「川のそばで穴を掘ったら、温泉が湧き出るって聞いたんだぞー」

「へぇー」

 カタグリくんが、エッホエッホと穴を掘り続けると、確かに、地面からジワリと水がしみ出し、さらに堀り進むと、大きな水たまりになりました。

「よーし、できたんだぞー」

 さっそく飛び込むカタグリくん。

「ひゃぁ、つめたかー!」

 湧いて来たのは冷たい水でした。

「ぜんぜんあったかくないぞー。ブルブルブル、はっくしょん」

 あまりの冷たさに身震いするカタグリくん。

「もーなにやってるん。このままやと風邪ひいてしまうで。しゃーないな」

ブルブルくんは力をためて、水たまりにむかい、光を放ちました。

「アントシアニンパワー!」

 すると、冷たかった水が、ほかほかの温泉にかわりました。

「ぬくかー。ブルブルくんのアントシアニンパワーはすごいんだぞー」

 そこへアイアイちゃんがやってきました。

「あ、ブルブルくん。探してたのよ。」

「え?アイアイちゃんがボクを?なになに?どしたん?」

「ちょっとお願いがあって」

といって前にだしたのは、鍋いっぱいのトウモロコシの粒。

「アントシアニンパワーちょっと貸してほしいの」

 ウインクするアイアイちゃんに、ブルブルくんはメロメロ。

「お安い御用や、アントシアニンパワー!」

 するとトウモロコシの粒はポンポンポーンと弾けて、ポップコーンに。

香ばしい香りが森をただよいます。

「わぁ、いい匂い。ブルブルくんありがとう」

するとそこに紫々丸くんが、何かの苗を持ってトコトコやってきました。

「あ、ブルブルくん、探してたんだー。実はお願いがあって・・・」

 なんか最近、ボクのアントシアンパワー、便利使いされすぎちゃうか・・・

ぼそっと一人つぶやくブルブルくんなのでした。

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