ブルブルくんと水の妖精

作者:伊藤有輝子

ある冬の朝。

目を覚ましたブルブルくんはカラダを見てびっくり!

「うわぁ、なんやこれ!!」

ブルブルくんの鮮やかな紫色のカラダが、真っ白になっていたのです。

「こ、こんなんブルブルくんちゃうやん。ブルーベリーの妖精ちゃうやん・・・」
ブルブルくんの紫はどこにいってしまったのでしょう?

北欧の森で、夜中ずっと起きているフクロウに聞いてみました。

「なぁ、ボクの寝てる間になにがあったか知らんか?」フクロウは顔をくるっと一周させると、

「誰かと思えばブルブルくんか。水の妖精がキミの色を抜いていくのを見たよ」と答えました。

ブルブルくんは湖へと駆け出しました。アントシアニンパワーがないので、空も飛べません。

湖に着くと、そこには水の妖精がいて、七つの小瓶を地面に並べていました。

瓶の蓋を開けると、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色の光が飛び出し、湖に大きな虹がかかりました。

森の動物や植物、妖精たちは大喜び。キラキラと輝く虹にうっとりと魅入っていました。

「みんなが最近元気がないから、虹を見せてあげたかったんだ。」

と水の妖精は言いました。

「いくら太陽がでぇへんからって、ひとのもん勝手にとったらあかんで。」

「うん、ごめんなさい。色よ、戻れ!」

水の妖精は素直に謝ると、持ち主にそれぞれ色を返そうとしました。

ところが紫色を取り戻すはずのブルブルくんに七色の光がすべて吸い込まれ、今度はブルブルくんが虹色に。

「な、なんじゃこりゃ」

レインボーカラーのブルブルくんを見て、みんなはさっきよりさらに楽しそうに笑いあいました。

「こらー!なにすんねんー!」
北欧の長い冬は始まったばかりです。

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