北欧に夏が訪れようとしています。
羊達の毛は生え変わりの季節。夏になる前に、冬の羊毛を綺麗に刈ります。そうするとまた、綺麗な新しい羊毛が生えてくるんですって。
そんなウワサを聞いたブルブルくん。
興味津々でチラリと紫々丸くんを見ます。
「なぁに?ブルブルくん?」
ブルブルくんの視線に気づいた紫々丸くんは、目をキラキラさせながらたずねます。
「え、いやぁ、紫々丸くんって、夏になる前に、その、散髪するんかなぁって思って」
「するよ~、冬の毛から、また新しい毛に生え変わるんだぁ、でも冬の毛がなくなっちゃうとボクつるつるになっちゃうから、ちょっと恥ずかしくって」
「へぇ」
「ボクの毛はちょっとかわってて、刈るんじゃなくて、ここのほころびを引っ張るとつるって全部抜けるんだ。あ、引っ張っちゃダメだよ」
ダメだと言われると、余計気になるブルブルくん。
紫々丸くんがお昼寝している間に、そーと近づいて、ほころびを見つけると、
「えい!」
と一気に引き抜いてしまいました。すると、
つるん、ぱさ
羊毛が一気に全部抜けて、つるつるになった紫々丸くん。
「こ、これはもう・・・羊というより・・・なんというか・・」
あまりのかわりように、思わず腹筋がよじれそうになり、ブルブルくんがそーとその場を離れようとしたとき、
ぴゅうっと風が吹き、紫々丸くんの羊毛が一気に空へ舞い上がりました。そして、
「クシュン!」
紫々丸くんがクシャミをした、その瞬間、ポン!
と一気に新しい羊毛が生えてきました。
ふかふかな羊毛に包まれ、目を覚ました紫々丸くん。
「あー気持ちよかった。なんかすっきりした気分だよ。」
「‥‥そ、そりゃよかったわ・・」
さっきの事はそっと自分の胸の中にしまっとこうと誓ったブルブルくんなのでした。
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