「あー雨が止みそうもないなぁ。これじゃあ試合ができないよ…」
カタグリくんは窓の外を見て、大好きな野球ができないことにがっかりした。春の大会が近く、隣街のチームとの練習試合を楽しみにしていたのだ。
退屈しのぎに始めたゲームは、「30 分だけ」と決めた約束を忘れて、あっというまに1時間が過ぎようとしていた。
その時……
「コラ!ゲームしすぎ!」
と、聞こえたと同時に、スマホの画面にブルブルくんが現れた。
「えっ、なに?」
「おどろかせてゴメン。キミたち子どもの目を守るためにパトロール中なんや」
「パトロール?」
「そう。カタグリくん、ゲームやり過ぎやで」
「だって雨で試合ができないんだもん……」
「だからってスマホばっかり見てたら、目が疲れてしもて、ほんまに野球やる時に上手いこと目を使えへんかもよ。ゲームはほどほどにして、目のトレーニングしよか~」
「目のトレーニング?」
「そうや。トレーニングを続けたら速いボールも止まって見えるようになるかもしれへんで」
「またまた~」
「あっ、ウソちゃうよ。ま、ボールが止まって…は大げさかもしれんけど、プロ野球選手も目のトレーニングやってるんやから」
「ほんと?じゃオイラもやる!」
「じゃ、まずは親指を立てて…」
カタグリくんはブルブルくんから目の体操を教えてもらった。
だんだん目がスッキリしてきて、速いボールが見えそうな気がした。
それからカタグリくんはブルブルくんに教えてもらった目のトレーニングを続けることにした。スマホにはプロ野球選手が目のトレーニングをしている動画が映っている。
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