一等賞だ~れだ?

作者:谷口 知愛

楽しげなファンファーレが鳴り響き花びらや紙吹雪が舞う。

「まもなくレースが始まります!今日、勝利の栄冠を手にするのは誰かなー?」

そのアナウンスに合わせて参加者たちが一斉にゲートに向かう。列の中でブルブルくんが真剣な表情をしている。

「位置について!よぉ~い…スタート!」

号砲と共に一斉にみんなが走り出す…とすぐに

ゴロゴロと大きな音を立てた何かが後ろからやってくる。

「うわぁ!なんやなんや?!」

すごい砂煙を巻き上げるものの正体はカタグリくん。

走っているというより体を生かしてものすごいスピードで転がっている。

「なんちゅう速さや~!」

このまま一気にいってしまうのかと誰もが思った瞬間。

ドゴォン!と轟音が響く

カタグリくんがコース上の大木にぶつかり目を回している。

「は~…助かった…」

ブルブルくんたち参加者はその脇をひらりとかわすように跳びレースは続く。

レースはブルブルくん、アイアイちゃんを含めた先頭集団のデッドヒート。

「んもう!今日は私が一等賞になるんだから!」

そういうとアイアイちゃんはキラキラしたレスベラトロールの光を放ってあっという間に先頭集団をメロメロにしてしまった。

「しもた!」

レース参加者が足を止めさながらアイドルのライブ会場状態に。

これでアイアイちゃん優勢か?と思われたが…

「「アイアイちゃ~ん!」」

「は~い!♡」

気分が良くなったアイアイちゃんがファンサを始めている。

「いや、レース中やろ?!」

ツッコミどころが満載すぎる状況にブルブルくんは声を上げる。

そのあとなんとか一人ゴールゲートにたどり着いたブルブルくん。

「よっしゃ!ボクが一等賞や…!」

しかし渡されたのは「2」と書かれたゴールフラッグ。

「え?」

目が点になりながら横を見ると「1」のフラッグを持った紫々丸くん。

「えへへ…なんかみんなが盛り上がってる間に一等賞もらっちゃった♪」

実はスタートがゆっくりだったのが幸いして先頭集団がわちゃわちゃしていた間に紫々丸くんがしれっとゴールしていたのだった。

「そんなぁ~~~!!」

ブルブルくんの声が森じゅうに響いた。

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