ダンスで心までポカポカ

作者:田中 由香里

北欧の森の短い夏が過ぎ、秋が深まる時期となりました。

木枯らしが吹き始めると、森はしんと静まり返り、少しずつ寒さが身にしみる季節です。

ある日、ブルブルくんはふと

「みんなに会いたいなあ」

と思い立ち、森の広場へと足を運びました。

しかし、広場には誰の姿も見当たりません。まばらに散った枯れ葉が風に舞い、森は少し寂しげな雰囲気です。

ブルブルくんは、しょんぼりと肩を落としました。

すると、遠くから軽やかな足音が近づいてきました。

振り向くと、そこにはアイアイちゃんの姿が。ブルブルくんは嬉しくなって思わず駆け寄りました。

「アイアイちゃんも寂しくなってきたの?」 と聞くと、アイアイちゃんはにっこりと笑って

「そうなの。やっぱり一人だと寒いし、つまらないもの」と答えました。

二人は顔を見合わせて、

「よし、寒さを吹き飛ばすために、ダンスをしよう!」

と意気投合しました。ブルブルくんとアイアイちゃんは、広場いっぱいに軽やかに踊り始めました。彼らがクルクルと回るたび、足元の枯れ葉もふわふわと舞い上がり、まるで踊りに誘われているよう。

踊っているうちに、二人の体はポカポカと温かくなり、心まで不思議と温かさで満たされていきました。冷たい木枯らしの中でも、二人が一緒にいることで、森はほんのりと暖かな光に包まれたようでした。

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