寒い冬が過ぎ、季節は穏やかな春になりました。
この前まで森は雪景色でしたが、いつしか桜が咲き誇っています。
「ようやく春がやってきたんやな」
「桜がほんまにきれいやね」
ブルブルくんとアイアイちゃんはそれぞれ家から飛び出し、春がやってきたことに喜びます。
「せや!アイアイちゃん、お花見しようや」
「そうやね!」
数日後、ブルブルくんとアイアイちゃんは見晴らしの良い丘へとやって来ました。
「私、頑張ってお弁当を作ってみたのよ」
アイアイちゃんがお弁当をブルブルくんに見せていると、桜の木の影から視線を感じます。
「そこにいるのはカタグリくんやろ?もう出てきたら?」
ブルブルくんが言うと、カタグリくんは恥ずかしそうに出てきました。
「ごめん!森の中を歩きよったらいい匂いがしてきよって、ついつい着いてきてしもうた。」
「もう、しゃあないな」
「カタグリくんも食べましょう」
みんなでお弁当を食べる準備をしていると、急に春風が吹き、桜の花びらが舞う。
「本当に桜がきれいやね」
「ほんまやな」
ブルブルくんとアイアイちゃんは桜に感動していますが、カタグリくんは何も言いません。
「カタグリくんも何も言えないくらい感動してるんか?」
「う、うん…」
「カタグリくんどうしたんや?」
異変に気付いたブルブルくんがカタグリくんを見ると、なんとカタグリくんがお弁当を食べ始めていました。
「カ、カタグリくん!?」
アイアイちゃんの顔はみるみる怒り顔に変わっていきます。
「ごめんよ。オイラ、我慢できんで食べてしもうた…」
「カタグリくんは花より団子なんやね」
「もう!カタグリくんは食いしん坊なんやから!そんなこともあろうかとたくさんお弁当を作ってきたわ」
そう言って、大量のお弁当を並べるアイアイちゃん。
しかし、ブルブルくんもカタグリくんも口には出しませんが、心の中ではこんなには食べられないよ…と思っていました。
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