ある日、ブルブルくんは町へとやって来ました。
「久しぶりに来たけど、えらいおしゃれになったな」
見渡すと、あちらこちらにおしゃれなカフェテラスが並んでいる。
「みんな美味しそうに何飲んでるんやろ?」
たくさんの人がテラス席に座って何やら飲んでいる。
「ブルブルくん、あれはコーヒーという飲み物よ。物知りで有名な鳩のリンツさん曰く、あれは大人しか飲めないらしいわ」
「大人しか飲めない? なんでや!?」
「リンツさんも飲んだことがないから分からないらしいけど、とても苦いらしいわ」
「ボクもそのコーヒー、飲んでみたいな~。」
「それは、無理よ?」
「そんなことない!簡単に無理って決めつけたらあかんで」
強気でアイアイちゃんに言ったブルブルくんは、一人男性が座っている机へ向かう。
「ブルブルくん?」
不安そうに見つめるアイアイちゃんに
「大丈夫やから、まぁ見てて」
ブルブルくんは得意げな顔をする。
机によじ登ると、コーヒーが入っているカップ1つがあった。
男性が夢中で新聞を読んでいる隙にブルブルくんはカップに顔を近づける。
ええ、香りや〜と思い、一口味見をする。
「うわっ、なんやこの味!苦すぎるわ!!」
ブルブルくんの顔は険しい顔になります。
その瞬間、
ポチャン……
ブルブルくんはコーヒーの中へ落ちてしまいました。
アイアイちゃんは急いで机によじ登ると、その男性はブルブルくんがコーヒーに入っていることに気付かずコーヒーを飲んでいるところでした。
もうだめだ……アイアイちゃんは思いました。
しかし、
「このコーヒー、さっきよりフルーティーになった気がする。おいしいな」
男性が再び新聞を読み始めた隙にブルブルくんはなんとかカップから脱出しました。
コーヒーに濡れたブルブルくんの足跡を残して。
その後、そのコーヒーショップではブルーベリーコーヒーが看板メニューになったんだとか。
なんとブルブルくんはコーヒーを全部飲み干してしまっていました。
「アイアイちゃん、ボク大人になれたかな?」
満面の笑みのブルブルくんにアイアイちゃんが呆れていると
「いつの間にかコーヒーが! …そしてカップの中になぜブルーベリーが?」
気付いた男性は不気味に思い、ブルブルくんはそのままカフェのゴミ箱の中に捨てられてしまったのでした。
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