北欧の冬、深い雪に覆われた静かな森の中でブルブルくんが、春の訪れを心待ちにしていました。毎年のように寒さが厳しい冬を乗り越えるたび、春を迎える喜びが大きくなるのです。
冬の北欧の森は、1 日中暗く、雪が厚く積もり、空気はひんやりと澄んでいます。木々の枝も、雪の重さに耐えかねて少しずつしなるように垂れ下がっており、葉の代わりに白く輝く雪の衣装を身にまとっていました。ブルブルくんはそんな冬の景色も嫌いではありませんが、やはり春の暖かい陽射しや新緑のにおい、色とりどりの花が咲き誇る様子が恋しかったのです。
ある朝、ブルブルくんはいつものように雪の上をぴょんぴょん跳ねながら、何か春を感じさせるものを探しに出かけました。森の中を進むと、ふと冷たい空気の中にわずかながら温かみのある風が吹いたのを感じました。「春の風かもしれない!」ブルブルくんは心を躍らせ、その風の先を辿っていきました。
途中で出会ったのは、ふわふわの毛皮を持つ小さなウサギのルーシーでした。ルーシーもまた、春の訪れを待ち望んでおり、毎朝「今日は少し暖かい気がする」と言い聞かせながら寒さに耐えていたのです。ブルブルくんが「今日は少し春を感じる風が吹いているよ!」と言うと、ルーシーも嬉しそうに耳をピンと立て、「じゃあ、もしかして春がすぐそこまで来ているのかも!」と小さく跳ねました。
二人はさらに森の奥へと進み、湖のほとりにたどり着きました。そこには、冬の間ずっと凍りついていた湖の氷が少しずつ溶け始め、小さな水面が姿を現していました。その光景を見た瞬間、ブルブルくんは「春は確かに近づいている!」と確信しました。ルーシーも喜んで、
氷の上を跳ねるたびに、薄い部分の氷が、ぽちゃん、ぽちゃんと湖に落ちていきます。
これまで感じていた寒さが少し和らいだような気がしたブルブルくんは、ほんの少し湖のほとりで眠ることにしました。
夢の中では暖かな春の風に乗って、森の中を飛び回っていい気分です。
しばらく跳ねて遊んできたルーシーがブルブルくんのもとに戻ってきて、びっくり!ブルブルくんがカチコチに凍っているではありませんか!
まだまだ寒い北欧の森、雪解けがほんとうに待ち遠しいですね。
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