眠れない夜

作者:藤井 恭介

北欧の冬の森。とても夜が長い季節です。

ある夜、ブルブルくんはベッドに入って眠ろうとしていましたが、なかなか寝付くことができません。

「あかん、明日は大事なダンス大会なのに、全然眠れへん」

ふと、横に目をやると、そこにはすやすやと床で気持ちよさそうに眠っているペットのアントンくんがいます。

「そうや、この前はひつじを数えていたら、途中に何度か紫々丸くんが出てきて目が冴えてしまったけど、今夜はアントンを数えてみたら眠れるかもしれへんな」

「よ~し、アントンが 1 匹、アントンが2匹・・・」

ブルブルくんの頭の中では、森の木の枝をアントンくんがジャンプして 1 匹ずつ飛び越えていきます。

アントンが 10 匹、アントンが 11 匹・・あ!危ない。小鳥に気を取られたアントンくんは、木の枝に引っかかって転んでしまいました。

そこに現れたのはアイアイちゃんと、ペットのレスベラちゃんです。

ケガをしたアントンくん見るやいなや、アイアイちゃんはレスベラちゃんを連れてきて、前足をペロッと舐めさせます。すると、あら不思議。擦りむいた傷がきれいに治っていくではありませんか。

喜んだアントンくんはアイアイちゃんの顔をペロッとひと舐めしてお礼を伝えます。

「こら、アントン!アイアイちゃんから離れるんや~!怒」と、ベッドから飛び起きるブルブルくん。

いつの間にか夢を見ていたのでした。

「あれれ、夢かぁ・・・」

時計を見るとまだ 5 分ほどしか眠れていません。

次にブルブルくんは、レスベラちゃんを数えて眠ろうとしましたが、ちょくちょくアイアイちゃんが登場し、ダンスの練習をイメージすることになり、その夜は眠れなかったとさ。

おわり

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