森の中、木漏れ日が揺れる静かな午後。レスベラちゃんは、真っ赤な瞳をきらめかせながら、新しいお気に入りのリボンを探していた。彼女は美しい毛並みに淡いピンクのリボンを合わせ、気分良く歩いていたが、突然、小さな音楽が耳に届いた。風の音とも違う、不思議なリズム――まるで木々が踊るような音。
音のする方へ進むと、小さな開けた場所に出た。そこには、森の妖精アイアイちゃんがいた。全身から陽気な光を放ち、軽やかなステップで踊っている。彼女の頭には葉っぱでできた可愛らしい冠が乗り、足元には落ち葉で編まれた舞台が広がっていた。
「こんにちは、あなたは誰?」
レスベラちゃんが声をかけると、アイアイちゃんはくるりと回って笑顔を向けた。
「私はアイアイ。この森の妖精よ。あなたは?」
「レスベラよ。ステキなリボンを探しているところなの。あなたのダンス、とても素敵ね。」
アイアイちゃんはうれしそうに手を叩き、「踊ってみる?」と手を差し出すと、レスベラちゃんは少し戸惑いながらも、その手を取った。
「わたし、ダンスなんてしたことないの。優雅に歩くことは得意だけれど…」レスベラちゃんはそう言いながら、足元の落ち葉を見つめた。
「大丈夫!ダンスは楽しむものだから。リズムに身を任せればいいのよ!」
アイアイちゃんが笑顔でそう言うと、軽快な音楽が風とともに流れ始めた。彼女が作り出す不思議な旋律が、レスベラちゃんの耳をくすぐる。
恐る恐るステップを踏み始めたレスベラちゃん。最初はぎこちなかったが、アイアイちゃんが手を取ってくるくると回ると、思わず「ふふっ」と笑い声がこぼれた。
「楽しいかも!」
レスベラちゃんはその場で一回転。柔らかな毛並みが陽射しに輝き、真っ赤な瞳がさらにきらめく。やがて、自分の足の動きが音楽とぴたりと合う感覚を覚え、彼女のステップはどんどん軽やかになっていった。
「すごい!まるで森のプリマドンナみたい!」
アイアイちゃんが感嘆の声を上げると、レスベラちゃんは少し恥ずかしそうに耳をぴんと立てた。
「そう?とっても気持ちがいいわ!」 レスベラちゃんは、リボンを探すことなどすっかり忘れて踊っていた。アイアイちゃんが、彼女の新しい才能を開花させたのだった。レスベラちゃんが森で一番のダンス好きな猫になるのは少し先のお話。
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