ここは森の中の小さな古びれたビルの中、あまり人が出入りすることはないんだけど、ちょこちょこお客さんがやってくる。
カラン
「こんにちは」
今日のお客さんは、アイアイちゃん。
「困っているの。ブルブルくん。手を貸して」
「もちろん。どうしたの?」
アイアイちゃんは大きな瞳を手で擦る。
「実は最近、とっても目が痒いのよ。それでね、話を聞いたら、紫々丸くんも痒いんだけど、カタグリくんは平気だって言うの。目が痒いんで我慢できずに擦っていると、いつのまにか荷物まで無くなってしまうのよ!きっと犯人はカタグリくんよね、ブルブルくん」
アイアイちゃんは興奮した様子で詰め寄ってくる。ブルブルくんは頬をぽっと赤らめた。
「少し時間をおくれ。必ず僕が解決してみせるで」
それから数日後、瞳を真っ赤にしたブルブルくんがやってきた。
「ブルブルくん、いったいどうしたの?大丈夫?」
「大丈夫。犯人が分かったで。この目は、その犯人の仕業や」 ブルブルくんは目薬を差し、頭の上にある口にマスクをつけた。
「犯人は、風だ!」
「へ?」
「風が、花粉を飛ばしてみんなを痒~く、つらいめに合わせていたんだ。我慢ができなくって掻いてしまったところで、大切な荷物が風に飛ばされてしまったんだね…」
その時強く風が吹いた。
「さむ~い」
ブルブルくんの、頭にかぶったマスクがパラシュートみたいになって、空高く飛んで行ったとさ。
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