春のアントシアニンパワー

作者:藤井 恭介

4月。長かった冬が終わり、
北欧にも少しずつ春がおとずれてきました。
高く積もっていた雪がとけだし暖かくなってくると、森は草花でいっぱいになります。
「今年もようやく春がきたなぁ、長かった〜」
ブルブルくんは森の中でしらかばの木々の間をぬいながらうれしそうに飛び回っています。
とけはじめた雪の間からは、たくさんのビルベリーの花が顔を出し、飛んでいるブルブルくんからキラキラとふりそそぐアントシアニンパワーを浴びて元気に成長をしています。

それを少しはなれたところから見ていたカタグリくん。
「オイラも、あのアントシアニンパワーがほしいんだゾ〜。あ、いいことを思いついたゾ」
体がかたいので、カチコチとコミカルな動きで森の中を進みながら、ブルブルくんへ近付いていくカタグリくん。いかにも悪だくみをしていそうな顔をしています。

「モイ!おはようカタグリくん」
「オッス、ブルブルくんにいいニュースがあるんだゾ。実はアイアイちゃんが、春になったから今夜一緒に森のダンスホールでブルブルくんとダンスをおどりたいって言ってたらしいゾ」
「ええっ?アイアイちゃんが!?」
ブルブルくんの目はハートになり、一気に頭の上からアントシアニンパワーがふき出しました。

「あっはっは、ウソなんだゾー!本当にブルブルくんはだまされやすいんだゾ」
キラキラのアントシアニンパワーをあみでパパパッとかき集めたカタグリくんは、しぼんで元気のなくなったブルブルくんを横目に一気にアントシアニンパワーを口の中へ。
「うぐぐ!これは!」
体がひと回りもふた回りも大きくなって、もとの手足ではまともに動けなくなってしまいました。
「もう!自業自得やでカタグリくん!春から夏にかけては、ボクのアントシアニンパワーには成長のためのエネ
ルギーがたっぷりふくまれているんやから」
丸々とした体で起き上がれないカタグリくんを見ながら笑うブルブルくんなのでした。

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