はらペコザウルス

作者:藤枝 紫音

とある日。突然、北欧の森に地響きがなりました。

「なんだなんだ!?」

ブルブルくんと紫々丸くんはバランスを崩し、地面に倒れ込んでしまいました。空を見上げると、大きな大きなカタグリくんがのっしのっしと歩いています。

「カタグリくん!    なんであんなに大きく!?」

「ちゃうで……あれは、はらペコザウルスや!」

「は?」

「はらペコザウルスは満足いくまでご飯を食べられへんかったカタグリくんが変身した姿や!」

ブルブルくんの声に合わせたかのようにカタグリくんが

「お腹が空いたんだぞおぉぉ!!」と大きな体をしならせながら叫び、近くに合った植物たちをむさぼり始めました。

「あかん!    このままじゃ、自然豊かな北欧の森の動物や植物たちが味わいつくされてまう!ボクの目が黒いうちはそんなことさせへんで!」

ブルブルくんは地面を強く蹴り、カタグリくんへと走り出しました。カタグリくんは目の前の小さなブルーベリーが立ち向かってきたことに気づき、捕まえて食べてしまおうと腕を伸ばしました。ブルブルくんは素早い動きでそれをかわし、カタグリくんの腕を走り登っていきます。カタグリくんの頭まで登ったブルブルくんは「今、助けたるからな!」と叫び、身体に力を籠めます。ブルブルくんの身体が濃い青紫に変わっていき

「アントシアニンパワー!!」

そして頭のてっぺんから、青紫の光が放出されました。その光には不思議な力があったのでしょうか。カタグリくんがむさぼった植物たちは元通りになり、そして、カタグリくんはもとの大きさへと戻っていきました。

「大丈夫か、カタグリくん!」

「うっ……お腹が空いたんだぞ……」

「心配させて!    でも、カタグリくんが無事でよかったで!」目に涙をためて、笑うブルブルくん。

めでたしめでたし。

「な、何を見せられていたんだ……」紫々丸くんがひとりごちました。


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