最強の名前

作者:池邨 麻衣

ある日、森の中をブルーベリーの妖精ブルブルくんが散歩していました。

「今日はどこまで歩いてみようかな?」と楽しげに歩いていると、ふと遠くから「クゥーン

……」という小さな鳴き声が聞こえてきました。

「なんや?」と耳を澄ませたブルブルくんは、声のする方へと進んでいきました。森の奥、茂みの影に、小さな子犬がうずくまっているのを見つけました。

子犬はブルブルくんに気づくと、丸い目で不安そうにこちらを見上げます。

「こんにちは、どうしたんや?」ブルブルくんが優しく声をかけると、子犬は弱々しく「クゥーン……」と鳴くだけです。

ブルブルくんは、周りを見渡しましたが子犬の親は見当たりません。

「自分 1 人か?ボクと一緒に森で遊ぶか?」

「ワン!」子犬の顔が少し明るくなりました。

「ほな、行くで~!」とブルブルくんと子犬は一緒に森を歩き始めました。

途中、森の道を歩いていると、子犬が「ワンワン!」をどこかに走っていきました。ブルブルくんも「ちょっと待ってや~」と追いかけます。

ブルブルくんが追い付くとそこにはたくさんのビルベリーがなっていました。

「ワンワン!」子犬がブルブルくんの方に振り向くと、口周りは真っ紫になっています。夢中でビルベリーを頬張る子犬。

「自分ビルベリーが好きなんか?ボクと一緒やな!」

ブルブルくんと子犬は一緒にビルベリーをたらふく食べます。

「もうお腹いっぱいやな~」「ワンワン!」すっかり仲良くなった 2 人。

「そういえば、名前なんていうんや?」

ブルブルくんは子犬にの方を見ますが、首を傾げるだけ。

「なら、ボクが名前つけたる!」

「何がええかな~」ブルブルくんはブツブツ言いながら考えます。

「閃いた!」

「アントンくん!アントンくんってどうや?」子犬は「ワンワン!」と喜んで走り周る。

「気に入ってくれたんか?」

「ボクの必殺技アントシアニンパワーから取った名前やから最強やで!これで怖いなしや!」

「ワン!」アントンくんもドヤ顔で喜ぶ。

「ほな、そろそろ帰るか!アントンもボクと一緒に来るか?」

「ワンワン!」

2 人は一緒に家に帰っていきました。

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