原宿に集合!

作者:藤井 恭介

登場人物

桐谷花鈴

麻布小春

清澄宙子

朝陽さき

青葉ゆい

野球が大好きで練習や試合に没頭する日々を送っている花鈴ですが、最近あまり元気がありません。

ちょっとスランプ気味なのではと、小春は息抜きに原宿に買い物に行くことを提案します。

ある休日の朝、待ち合わせ場所の赤羽駅へ、花鈴・小春・宙子が集合します。

小春「せっかく原宿に行くんだから、今日は美味しいものを食べて、かわいい服もたくさん見ましょう !」

花鈴「うん!小春、ありがとう」

流行に敏感な小春は事前にリサーチをしていたプランを計画しているようです。

それでもどこか浮かない顔の花鈴。

宙子 「かわいい服を着ている花鈴~考えただけで楽しみ~ムフッ」

買い物に一緒に行く宙子の目的は、ただこの1点なのでした。

電車に揺られ、3人は原宿に到着します。

キラキラとした、賑やかな原宿でのショッピングは普段とガラリと環境が変わっていて、あっという間に時間が過ぎていきます。

かっこいい服、かわいい服などたくさんの洋服を見ては小春が花鈴に試着を勧めます。

宙子は、そんな試着室から出てくる花鈴の写真を撮りまくりその枚数は100枚以上に。

宙子「ふふふ。夢のような花鈴コレクションが完成したわ(鼻血)」

一通り買い物を楽しんで、最後の目的地であるフルーツパーラーへと向かう3人。

ふと、メイン通りから外れた一角にあった、野球用品を扱っているスポーツショップが花鈴の目に入ります。

花鈴「ちょっとあの店に寄ってみたいな」

小春「せっかく原宿まで来たのに、やっぱり花鈴の頭は野球でいっぱいだね」

花鈴「へへへ」

宙子「(そんな花鈴もかわいい !)」

スポーツショップへ向かおうとしていると、その途中に何だか人だかりが出来ています。

小春「え?あの子って…」

花鈴 「あ~!さきちゃんだ !」

視線の先には、モデル並みの容姿を持つ美少女、朝陽さきが3~4人のスカウトマンに囲まれて立っていました。さきは彩愛女学院に通う高校生で、花鈴とは幼馴染。

花鈴 「さきちゃん~ !久しぶり!」

さき「あ~かりん!ちょうどよかった」

ハイタッチする2人を見て、奥歯を噛む宙子。

宙子「おのれ朝陽さき、またしてもあたいの花鈴に気安く触れて」

「なんだ !揃って身長が高くてスタイルもいい。今日はレベルが高いぞ」

「何としてもスカウトして帰らないと」

スカウトマンたちは口々にこう言います。

4人は和気あいあいとメイン通りで会話を楽しんでいている周りで、スカウトマンたちはまた声をかけようと待機しているのでした。

4人はそんなことに目もくれず、スポーツショップへ歩きはじめるのでした。

ちょうど同じ時刻。

原宿の街を一人くたびれた顔でフラフラ歩いている女子高生がいました。

杜の都高校の青葉ゆいです。

ゆい 「あ~、いずい。いずい。何でこんなに人混みが続いてるっちゃ…」

家族と親せきの結婚式のために東京を訪れていたゆいはサプライズプレゼント用に写真現像のおつかいを頼まれていたところなのでした。彼女は、都会の空気が苦手で、疲れた表情を浮かべながら街を歩いています。

ゆい「うぅ…どこかで休憩しないと…」

その時、原宿の人混みでひったくり事件が発生します。

人混みを払いながら逃走している犯人がちょうどゆいを押しのけて走っていきます。

ゆい 「うぅ~もうなんでこんな目に会わなきゃならないっちゃ!怒」

ストレスの溜まっていたゆいは、右足を素早くトントンさせると、自慢の俊足で犯人を追い始めました。

ゆい「待つっちゃ~!!」

そんな犯人とゆいが、花鈴たちの横を高速で走り過ぎていきます。

犯人に払いのけられて、倒れて目を回しているのはスカウトマンたちで良かったですね。

小春「え?あの子って…」

さき「北のスプリンター」

宙子「なんなの今日の原宿は、まるでジャパンカップね」

青葉ゆいは犯人に追いつけそうでなかなかその距離が縮まりません。

ゆい「人が多すぎて思うように走れないっちゃ」

そんなとき、犯人の頭に見事に野球のボールがクリーンヒットし、犯人は倒れて目を回しています。

投げたのは花鈴でした!

小春・宙子・さき「えええ!」

警察が駆けつけて、逮捕される犯人。

通行人たちは、必死に犯人を追いかけたゆいと。見事な投球を見せた花鈴に惜しみない拍手を贈ります。

花鈴「顔色が悪いけど大丈夫?」

ゆい「都会は苦手で…でも、二次会に遅れっから、もう行くっちゃ」

花鈴「二次会?」

宙子「人にはそれぞれに事情があるようね」

そう話しているうちに、ゆいの家族や親せきが彼女を心配してやってきます。花鈴たちはゆいに別れを告げ、スポーツショップへ向かいます。

「お嬢ちゃん !さっきの投球すごかったな !おじさんびっくりしたよ!」

花鈴が投げたボールは、実はこのスポーツ用品店から拝借したものだったのです。

花鈴「おじさん、さっきは大した説明もせずにボール借りちゃってごめんなさい!」

「いやいや、良いさいいさ。この街の平和のためにウチのボールが役に立ったってんだから、鼻が高いやい!それにしても、女の子が野球やってるってのは格好良いぜ。よ~し今日は気分がいいし、何でも半額で持ってってくれい」

花鈴・小春・宙子・さき「おじさん素敵 !」

スポーツショップSHIBUYAは、この日以降、星桜高校の応援だけでなく、長く女子野球のスポンサーとして花鈴たちを応援し続けるのでした。

おわり

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